障害者年金

文責:弁護士・社会保険労務士 鳥光翼

最終更新日:2022年03月04日

1 正しくは「障害年金」です

 障害年金のことを「障害者年金」と誤解されている方もおられますが、正確には「障害年金」です。

 障害者年金という法律上の言葉はありません。

 障害年金と類似するものとして「障害者手帳」というものがあります。

 障害者手帳は 、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種の手帳を総称したものです。

 障害者手帳は一定の障害を有する方に交付されるもので、障害者手帳があると、交通機関の利用料が免除・減額されるなど、福祉サービスを受けることができます。

 これに対して、障害年金は、障害により日常生活に支障がある方に対して給付される年金制度のことです。

 障害年金と障害者手帳は、一定の障害がある方に与えられるという点では同じですが、制度としては全く別のものです。

2 障害年金は重い病気やケガを負っている方に支給される年金です

 障害年金は、病気やケガによって生活や仕事が困難になった場合に、その障害の程度に応じて支給される年金です。

 障害年金の対象となるのは、重い病気やケガにより生活・仕事に支障があり、その状態が今後も継続することが見込まれる人です。

 障害年金の対象となる病気やケガかどうかについては、国が設定する認定基準を満たすかどうかにより決まります。

 例えば、障害1級の認定基準としては、「両目の視力の和が0.04以下のもの」「両下肢を足関節以上で欠くもの」等の基準があります。

 1級の認定基準は総合すると、「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」と言えます。

 2級の基準は、総合すると「身体の障害により日常生活に著しい制限を受けるもの」ということです。

 身体障害のみならず、精神障害により1級、2級に相当する制限が生じていれば障害年金が受給できます。

 等級の違いにより、受給できる年金の額が異なります。

3 障害年金はほぼすべての人が受給できる可能性があります

 障害年金は、重い病気などで生活や仕事に支障がある方を保護するための制度です。

 対象となる病気やケガについて最初に医療機関で診療を受けた日(「初診日」)において65歳未満であれば障害年金の受給資格があります。

 未成年者も障害が残存している状態で20歳に達した場合には障害年金を受け取れます。

 初診日に加入している年金によって、受け取れる障害年金の金額等が異なりますが、いずれかの年金に加入されているでしょうから、65歳未満の方はほぼすべての人が障害年金の対象となると言えます。(ただし、年金の納付要件を満たす必要はあります)。

 また、初診日に65歳未満であれば、障害認定時に65歳を超えていても、場合によっては障害年金を受け取ることができます。

4 障害年金が受給できるかは専門家にご相談ください

 交通事故、労災、病気の発症等、障害を負う原因は様々です。

 重い障害が残存してしまった場合、65歳未満のほぼすべての方が障害年金の対象となります。

 国が定めた認定基準を満たす重い障害であれば障害年金が受給できます。

 認定基準を満たす可能性はあるか、申請手続など、ご自身では分からないという方も多いでしょう。

 ぜひ専門家にお尋ねください。

PageTop