障害年金受給中に新たな障害が発症した場合の対応方法
1 複数の傷病に対する障害年金制度の取扱い
障害年金の受給中に別の傷病を発症した場合、要するに複数の傷病を抱えた状態になります。
このような場合、障害年金の制度上は、それぞれの傷病による障害の等級を認定した上で、それらを合わせた程度の等級を認定する、という取扱いが行われます。
これを「併合認定」と呼び、併合認定の基準についても、障害年金の認定基準の中に定められています。
2 具体的な対応
併合認定での等級認定、それに応じた障害年金を受給するためには、新たな傷病に対して改めて障害年金申請を行う必要があります。
診断書の取得や、病歴・就労状況証明書の作成等、現在受給中の障害年金の申請をした時と同様の準備をしていただくことになります。
場合によっては、併合が行われた結果、現在受給中の障害年金と等級が変わらないようなこともありますのでご注意いただいた方がよいかと思います。
例えば、併合の認定基準の「別表2 併合(加重)認定表」を見ると、3級7号同士では併合しても3級のままとなってしまいます。
例えば、精神疾患の3級と、「両耳の平均純音聴力レベル値が70デシベル以上のもの」に該当する難聴の3級は7号同士であるため、併合3級となっています。
3 そもそも別傷病と判断されない場合
治療を続けていく中で、別の傷病があることが発覚した場合であっても、障害年金の評価上、同一傷病と捉えられ、併合の取扱いとならない場合も少なからずあります。
よくある例としては、うつ病等で長年治療を続けていた方が、転院等のタイミングで発達障害等の別の診断を受けた場合が挙げられます。
このようなケースで、厚生労働省は疑義照会回答で、「そのほとんどが診断名の変更」であるとしており、通常は同一傷病として認定されることが多いと見込まれます。
また、発達障害と診断されていた人が後からうつ病等の診断も受けた場合、「発達障害に起因して発症したとの考えが一般的であることから、同一傷病として扱う」としており、こちらの場合も基本的には同一傷病と考えられます。
こうした考え方は、併合のほか、特に初診日を明らかにする際にも問題となってくる点ですのでご注意ください。