心臓にペースメーカーを入れている場合の障害年金
1 心臓にペースメーカーを入れている場合の障害年金受給
ペースメーカーを入れている方についても障害年金受給の対象となることがあります。
2 基本となる認定基準
障害年金の認定基準を見ると、難治性不整脈の項目に「ペースメーカー、ICDを装着したもの」とあり、ペースメーカーを入れている事実をもって3級と認定するものとされています。
障害年金は、障害基礎年金と障害厚生年金とに分かれますが、障害基礎年金については1級か2級の等級しかありません。
そのため、障害基礎年金の申請の場合で3級の認定を受けることはないということになります。
3 3級以外の可能性
認定基準を見ると、ペースメーカーを入れている場合には3級と判断してしまいそうになりますが、必ずしも3級以外にはならないという意味ではありません。
まず、心臓に取り付ける器具には、心臓再同期医療機器(CRT)、除細動器機能付き心臓再同期医療機器(CRT-D)等もあります。
これらを装着した場合には、障害年金の認定基準上は2級となるものとされていますので注意が必要です。
また、ペースメーカーやICDの装着のケースでも、その他の異常所見等を総合判断し、2級などの上位等級に認定されることもあります。
4 他の障害年金申請との違い
ペースメーカー装着については、装着した日をもって障害認定日と取り扱われる場合があります。
「障害認定日」というのは、障害年金を受給できるか否かの審査の基準となる日で、障害年金を受給できるのは障害認定日以降ということになります。
この障害認定日は、基本的に初診日から1年6か月後とされています。
例えば精神疾患等で長く苦しんでいたがずっと病院に行っておらず、耐えかねて、あるいは救急搬送等で病院を受診するに至った場合、その症状が重かったとしても、障害年金を受給できるようになるのはその初診日から1年6か月後以降ということになります。
これに対し、突然心臓の痛みを感じて痛みを感じて病院へ行ったところ心疾患があることが発覚し、急遽ペースメーカーを入れることになった場合には、手術をしてペースメーカーを入れた日をもって障害認定日となり、それ以降すぐに障害年金の申請手続きをすることが可能になります。
一方、長く心疾患で治療を続けている方の場合には、通常通り初診日から1年6か月後が障害認定日となります。
仮に障害認定日時点ではそこまで重篤ではなく、1年6か月後以降にペースメーカーを入れるに至った場合には、「事後重症請求」を行うことになるかと思います。